名古屋大学の山口茂弘教授らの研究グループは22日、近赤外領域に吸収帯や蛍光帯を示す反芳香族性分子の開発に成功したと発表した。近赤外発光材料を設計するための新たな戦略となりそうだ。
研究で注目したのは、反芳香族化合物がもつ狭いHAMO―LUMOギャップ。従来の反芳香族化合物は類似のものと比較し、ギャップ間のエネルギー差が地裁ため、長波長領域での吸収や蛍光波長の観点では適さなかった。だが、それに対応する電子遷移は起こりづらく、発光性を示すものはほとんどない。
研究では、反芳香族性を示す含窒素7員環であるアゼピンに芳香族ヘテロ環であるチオフェンを縮環したジチエノアゼピンが近赤外発行色素の基本骨格として有用であることを明らかにした。
研究グループは「今回の成果は小さな骨格で近赤外発光材料を設計する上での新たな戦略として期待される」と話している。