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〝国民病〟慢性腎臓病への新たな治療法確立 阪大研究Gが機構解明

大阪大学大学院医学系研究科の南聡特任助教らの研究グループは21日、加齢や肥満に伴う腎臓病の進展に対抗する新しい機構を明らかにしたと発表した。国民病とも呼ばれる「慢性腎臓病」に対する新たな治療法の確立が期待されている。

研究ではまず、オートファジーに必須の遺伝子である「Atg5」を近位尿細管特異的に欠損させた近位尿細管特異的オートファジー不全マウスを作成。加齢モデル(24カ月飼育)・肥満モデル(高脂肪食負荷2カ月間)を行い、抗肥満因子としてよく知られている「FGF21」の産生を検証したところ、加齢モデル・肥満モデルともにオートファジー不全マウスでFGF21が著しく増加していた。

そこで近位尿細管特異的FGF21ノックアウトマウスを作成し、加齢・肥満モデルで検証したところ、ノックアウトマウスでは尿細管の空胞病変として観察される巨大リソソームが著しく増加しており、オートファジーの停滞も増悪していた。

次に、オートファジー不全マウス・オートファジー不全かつノックアウトマウスを作成し、加齢・肥満モデルで検証したところ、オートファジー不全かつノックアウトマウスはオートファジー不全マウスと比べても腎臓病が進展していた。

またこのマウスではミトコンドリア生合成低下、ミトコンドリア異常を確認した。これらのことから近位尿細管においてオートファジー不全下で産生されるFGF21はオートファジーの停滞の改善、ミトコンドリア生合成促進を介して腎保護的に働くことが明らかとなった。

この成果によって、加齢や肥満に伴う腎臓病に対して、FGF21やオートファジーの停滞を標的とする新しい治療法の確立が期待される。南特任教授は「今後はFGF21抵抗性の病態を解明し、FGF21抵抗性を解除するアプローチをとることにより、慢性腎臓病に対する治療法の開発につなげたい」とコメントした。