産業技術総合研究所(産総研)の昆盛太郎研究グループ長らのチームは21日、4Kから300K(マイナス269からプラス27度)の任意の温度で、高周波コンポーネントの反射・伝送特性(Sパラメーター)を評価する技術を開発したと発表した。
量子コンピューターシステムは、極低温下の量子チップと室温部とのあいだで高周波信号を伝送するために、数多くの高周波コンポーネントを含む。だが、そのほとんどは極低温環境下での特性が保証されていない。
多数の高周波コンポーネントが組み合わされた回路で、たった一つの部品であっても、予期せぬ動作不良が発生すると量子コンピューターの大規模集積化の妨げになる。そのため、高周波コンポーネントに対し、低温での評価法の確立が求められている。
今回の手法は、既存の反射・伝送特性の測定法を改良し、4~300Kの任意の温度における高周波コンポーネントの評価を可能にした。この技術で得られる温度依存性の情報は、高性能・高密度な高周波コンポーネントの開発プロセスに必須であり、量子関連技術の発展に貢献する。
研究チームは「高周波コンポーネントを開発・製造する企業や研究機関、団体などと連携し、量子コンピューターの大規模集積化に貢献したい。本手法を基に、4から300Kまでの材料パラメーターの測定、フラットケーブルなどの評価といった計測技術の開発を行い、産業界に向けた新たな計測ソリューションの提供に取り組む」と意気込んでいる。