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【研究最前線】「気温と色素量の環境応答パターン」を野外植物で初解明 金沢大学などの研究Gが

金沢大学の秋田純一教授らの研究グループは21日、野外での植物の状態をモニタリングするAIを利用した画像解析システムを開発し、色素量の変動を指標として植物の環境応答を解析できる手法を確立したと発表した。気温と色素の変化を環境応答パターンを野外環境下の植物において初めて解明したという。

研究では画像データを収集・解析するシステムを独自開発して「PlatServation」と名付け、野外に植えたシロイヌズマ属の多様な系統を時系列撮影して400万枚以上におよぶ画像を取得した。だが、葉の色が背景とよく似ていることもあり、人間の目では認識が困難。

そこで深層学習によるセグメンテーションというAI技術を利用することで植物部分の自動認識に成功した。植物の色情報からアントシアニン色素量を推定する機械学習の手法を用いて、画像データから色素の時系列変動を捉えることに成功した。

得られたデータを比較したところ、近縁の種や系統間でも差異があった。それぞれの毛糸の変動パターンを気象データとあわせて統計解析した結果、気温・日射量・降水量といった環境要因に応じて系統ごとに異なるパターンで色素量を調節していることが分かった。気温が変わると、色素量がどの程度変化するのかという詳細で定量的な環境応答パターンを野外環境下の植物において初めて解明した。