京都大学
京都大学の藤田大樹特別研究員らの研究グループは、クロダイなどに寄生する「サヨリヤドリムシ」が寄生する際に宿主がエサを食べる行動を利用して取りついていると発見した。
サヨリヤドリムシはウオノエ類に属するダンゴムシのような見た目をした寄生虫だ。ウオノエは魚のエラを収納している部分や腹、口などに生息し、魚の体液を吸って生きている。これまでウオノエの子どもであるマンカが、どのように魚に宿るのかは分かっていなかった。
グループはサヨリヤドリムシのマンカがクロダイの稚魚がエサを食べる行動を利用しているという仮説を立てて実験を行った。エサが大量にあれば、サヨリヤドリムシが食べられる頻度が減ると想定。生き餌(え)を放った空間での寄生成功率を観察した。
その結果、エサなしの成功率は60%、ありの場合は32%となった。かかった時間はなしで約1時間、ありで3時間であった。マンカを食べる頻度が低下したためであると推測されている。
藤田特別研究員は「クロダイ稚⿂が『サヨリヤドリムシを⾷べようとしているのではないか』という仮説は私が学⽣のころから持っていた」とコメント。不明点はまだ多いため、今後も研究を進めていきたいとしている。