腹部に寄生しているヤッコヤドカリノハラヤドリ(提供:篠田大学院生)
京都大学の篠⽥晏希大学院生らの研究グループは今年2月、ヤドカリの寄生虫「ヤッコヤドカリノハラヤドリ」を新たに発見したと報告した。ヤドカリノハラヤドリ亜科に分類され、日本産で同亜科の新種が記載されるのは75年ぶりとなる。
ヤッコヤドカリノハラヤドリは沖縄県で確認されている「ヤッコヤドカリ」の腹に宿ることから命名。体長はメスが7.3ミリ、オスが2.7ミリ程度。奄美大島付近の水深163~167メートル地点で発見され、ダンゴムシなどが属する等脚類に分類された。
ヤドカリノハラヤドリ類の他種と比べ頭部が大きく、多くの同類で失われている腹部付属肢が欠損していないところが特徴。尾の部分からから同亜科の中でも特に原始的な種類だと推測されている。
篠田大学院生は「75年ぶりとなる新種記載ができて大変うれしいです」とコメント。「本種はヤドカリノハラヤドリ類の中でも祖先的であり、この発見はヤドカリノハラヤドリ類の寄生生活への適応進化の解明に役立つ」としている。