大阪大学の吉森保教授らの研究グループは15日、モデル生物線虫を用いて、寿命延長に必須な神経系を起点としたオートファジー制御ネットワークを世界で初めて明らかにしましたと発表した。寿命延長の重要な転写因子「MML-1」の神経系における活性の重要性を発見し、それが前身のオートファジーなどを活性化することで寿命が伸びると明らかになった。
最近の老化研究から、特定の組織がいわば高次の「コントロールセンター」として寿命を制御していることが分かっていた。生殖細胞欠損によるMML-1の活性化は全身レベルで起こるが、どの組織のMML-1の働きが寿命制御に中心的な役割を担っているかはこれまで明らかにされていなかった。
研究グループは、線虫を用いて寿命延長におけるMML-1の解析を行い、神経系のMML-1の活性化が全身の老化抑制・寿命延長に必須の働きをもつことを見出した。さらに、神経系MML-1を起点とした全身でオートファジーの活性を制御する組織間ネットワークを明らかにすることに成功している。
研究グループは「個体寿命の制御における神経系を起点とした組織間ネットワークの一端を明らかにすることができた。神経系MML-1をターゲットにした新たなオートファジーの活性調節やこれに伴う健康寿命延長法確立への貢献が期待できる」とコメントした。