タケウマカザリゴカイ=2023年8月27日撮影、(提供:自見直人講師)
名古屋大学の自見直人講師は先月28日、新種のゴカイを深海3623メートル地点で発見したと発表した。垂直に立つ巣を構築して、その上部でゴカイが生活していたという。「こんな面白い生態のゴカイがいるんだ」と発見した時に驚いたと述べている。
新種のゴカイは「タケウマカザリゴカイ」。海底から立ち上がるように伸びている巣の様子が竹馬に乗っているように連想されたことから命名された。通常、ゴカイの仲間は岩や泥の中に巣をつくるため、特殊な事例だという。

採取したタケウマカザリゴカイの巣(提供:自見講師)
タケウマカザリゴカイの大きさは3センチ程度。深海で上に伸びる巣を作っている理由は、砂ごとエサを食べる一般的なゴカイと異なり、水中に漂う有機物をエサとしているためと推測される。最上部で小さく分解された生物の死がいなどを捕食していると考えられている。
自見講師は「潜水艇『しんかい6500』の窓をのぞいていた際、たまたま目の前に巣があったことが発見のきっかけ」と説明。「実際に現場に行けたことが結果につながり、潜水艇は思いがけない成果をもたらす」としている。
■しんかい6500
6500メートルまで潜水可能な海洋研究開発機構(JAMSTEC)の有人調査船。1989年に完成し、2017年に計1500回の潜航を達成した。地震を起こすプレートの沈み込みや深海生物の調査、環境変動の研究に貢献している。老朽化が進んでおり、後継機や無人探査機の作成が検討されている。