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人間の瞳孔 記憶のためでなく結果として巨大化 新潟大

新潟大学

新潟大学の新美亮輔(にいみ・りょうすけ)准教授らは10日、風景や物体などのさまざまな写真を見たときの目の瞳孔の変化を調べた。その結果、記憶に残りやすい写真を見ている時に瞳孔が大きくなり、それは記憶の副産物であると分かっている。科学誌「サイコフィジオロジー」に掲載されている。

瞳孔は目の奥に光を取り入れる穴で、大きさは2~8ミリ。自分の意志では変えられず、意識することもできない。明るい場所では瞳孔が小さくなり目に入る光の量を減らすことで、まぶしいものを見やすくする。精神や記憶ともサイズが関連するとされ、被験者に写真を見せて記憶と瞳孔の関係性を調査した。

研究では35~36人の参加者に、記憶しやすい写真やそうでない写真を2.5秒ずつ表示して瞳孔の大きさをチェックしている。感情的内容を含む写真を取り除いたり、明るさを調整したりして、記憶しやすい写真とそうでないものに差が出ないようにした。

その結果、記憶しやすい写真を見ている時が、瞳孔が大きくなった。記憶に関係のない状況でもこの現象が確認されたという。新美准教授は「瞳孔の変化は記憶の原因ではなく結果だ」と分析。覚えやすい写真を見ることで起こる認知処理の副産物として瞳孔が大きくなったとしている。

新美准教授は「記憶しやすい写真と記憶しにくい写真が脳の中で異なった認知的処理を受けていることを示す生理的証拠と言える」と紹介。「人間の視覚的記憶のしくみを調べるために瞳孔の計測が有用である」と説明している。