富士通と横浜国立大学は14日、スーパーコンピューター「富岳」と気象シュミレーターを組み合わせて世界で初めて台風による竜巻発生の予測を可能とすることに成功したと発表した。AI(人工知能)技術も活用し、台風に伴う竜巻などを予測する研究を両者で推進していくという。
これまでの気象シミュレーションは竜巻発生に必要な強風予測ができるモデルになっていなかった。加えて、台風とその進路を含んだ膨大な計算を高解像度で行えず予測には至っていない。
こうした課題を解決するため、同大が開発したシミュレーター「CReSS」(クレス)を富岳上で最適化することで計算時間を短縮。最大11時間から80分まで短くしたという。昨年8月に発生した台風による局所的な竜巻の発生予測に成功した。
同大の坪木和久教授は「竜巻発生の時間と場所をピンポイントで行うことは困難だが、精度よく予測できる」と紹介する。
同大の筆保弘徳教授は「異なるスケールの気象現象を高精度にシミュレートすることが可能になったことは、気象学における大きなブレークスルーとなる」と説明。「この先進的なシミュレーションが、地球環境への影響を最小限に抑えつつ、自然災害のリスクを軽減するための研究に貢献することを期待する」とコメントしている。