筑波大学
筑波大学の澤田聖人(さわだ・きよと)助教と新潟大学の阿部晴恵准教授は9日、日本で最も生息するヘビが多い佐渡島(新潟県)でさまざまな種類が共存できる要因を調べた。エサだけでなく、活動時間や場所の違いも重要であると確認されている。
生物は生活資源(ニッチ)を違える「ニッチ分割」により共栄しているとされる。だが、陸地に生活するヘビの時間や空間、食性を包括的に調べた研究はこれまでになかった。
佐渡島にはシマヘビ、アオダイショウ、ヤマカガシ、ニホンマムシ、ジムグリ、ヒバカリ、シロマダラの7種のヘビが生活している。グループは2019~23年に、発見日時と胃の内容物を調べるフィールド調査を実施した。
その結果、活動時間や季節、場所、食性が数グループに分かれた。エサ資源の重複が大きい種では、それを小さくするための傾向が見られた。例えば、エサが同じアオダイショウとニホンマムシ、ジムグリは島内の生息地域が異なっていたという。
グループは「世界的に衰退傾向にあるヘビ類を保全するためには、さまざまなタイプの資源を守っていく必要がある」とした。今後について、「ヘビ類のニッチ分割が⽣態系のバランス維持にどのように貢献しているのか、など機能的評価の解明を進める予定だ」と紹介している。
同日付の米学術誌「ジャーナル・オブ・ズーロジー」で公開されている。