栗原俊英准教授
慶応義塾大学と同大スタートアップの「レストアビジョン」は13日、視覚再生治療剤「RV-001」の初の治験実験を今月6日に行ったと発表した。失明疾患に対する新たな治療法を提供する一歩になりそうだ。
治療法が確立されない視覚機能が低下する「遺伝性網膜疾患」は、世界で約200万人の患者が存在するとされる。近年、光感受性タンパク質を用いた視覚機能の再生を目指す研究が進んでいる。従来の方法では、非常に強い光が必要で実用化に課題があったという。
研究グループは名古屋工業大学の神取秀樹教授らが開発した光感受性を助けるタンパク質「キメラロドプシン」を利用した治療法を開発。それを使った治験製剤RV-001の開発に成功している。
今後実施される治験では、最大15人の成人患者の治験実施を目標に、眼内注射による投与を行い約半年間の経過観察を行う。1人目を今月6日に実施し、現在まで有害症状はでていないと報告した。終了は年内を目指す。
研究グループの栗原俊英准教授は「皆様のサポートのもと、治験にいたることができた」と感謝を述べ、「数年以内に市販に至ることを目指しつつ、少しずつ前進していきたい」と力を込めている。