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【研究最前線】肝線維化を促進する新たな病態メカニズム 名大教授らが発見

名古屋大学の菅波孝祥教授らを中心とする研究グループは20日、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)で、白血球の一種が異物を侵食する「マクロファージ」へのコレステロール蓄積は線維性物質が増加する「肝線維化」を促進するという新たな病態メカニズムを明らかにしたと発表した。

研究グループは、NASHマウスモデルやヒトNASHサンプルの解析から、死細胞の処理にあたるマクロファージにコレステロールが蓄積することでNASHに特徴的な活性化が誘導され、肝線維化が進行することを見出した。

さらに、独自の超分子ポリロタキサンを合成し、マクロファージ内に蓄積したコレステロールを排泄させることで、NASHマウスモデルにおける肝線維化を抑制することに成功した。

研究グループは「近年、NASHの病態形成に深く関与するマクロファージの特徴が明らかになりつつあるが、本研究はコレステロール代謝変容による線維化促進形質の獲得機構を発見した。ヒトにおいても活動性の高いNASHでは高率にコレステロール結晶が認められるため、超分子ポリロタキサンのNASH治療への応用が期待できる」としている。