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「セレン」で低下、出生前アレルギー疾患発生リスク 阪大研究チームが確認

大阪大学の祖父江友孝教授らの研究チームは20日、9万4794組の母子を対象として、出生前の水銀、セレン、マンガンへのばく露が、3歳までの子どものアレルギー疾患の発症に与える影響について解析を行ったと発表した。出生前の水銀、またはマンガンのばく露は、3歳までの子どものアレルギー疾患の発生リスクとの関連はみられなかったものの、セレンに関しては、子どものアトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、さらにいずれかのアレルギー疾患の発生リスクの低下が確認された。ただし、その関連は、血中水銀濃度の高い場合にはみられなかった。

研究では、妊娠中の母体血中水銀、セレン、およびマンガン濃度のデータがあり、母親の自記式質問票に有効な回答があった9万4794組を対象とした。子どものアレルギー疾患の累積発生については、医療機関にて医師により診断されたアトピー性皮膚炎、食物アレルギー、喘息の有無を、1、1.5、2、3歳時のそれぞれの質問票で確認した。

解析は、確率を検討するための統計手法「修正ポアソン回帰分析」を用いて、3歳までの子どものアレルギー疾患の発生リスクについて、妊娠中の母体血中水銀、セレン、およびマンガン濃度別の累積発生比(CIR)と95%信頼区間(CI)を推定した。

また、結果に影響を与える可能性のある「交絡因子」として母親の年齢、調査地域、血中金属元素などを調整した。

調査によると、妊娠中の母体血中水銀、セレン、およびマンガン濃度の中央値ng/gは、それぞれ3.6、168.0、15.4であった。9万4794人の生存児のうち、3歳までのアレルギー疾患の発生が2万6238人(28.5%)でした。疾患別では、アトピー性皮膚炎が9715人(10.3%)、食物アレルギーが1万897人(11.5%)、喘息が9857人(10.4%)、アレルギー性鼻炎が4630人(4.9%)であった。

調査の結果、出生前の水銀ばく露およびマンガンばく露と3歳までの子どものアレルギー疾患の発生との間には、関連は見られなかった。しかし、出生前のセレンばく露に関して、母体血中濃度を対数変換して2倍増えるごとの発生比を算出した結果、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎のいずれかのアレルギー疾患の発生リスクが低いことなどが示された。

研究チームは「妊娠中の両親の血液などの生体試料を採取して、化学物質濃度などの分析を行っており、子どもの発育や健康に影響を与える化学物質等の環境要因を明らかにするため、引き続き調査を進めていく」としている。