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【研究最前線】ナノリボンのエッジが示す特異な力学特性 北陸先端大研究Gが観測に成功 

北陸先端科学技術大学院大学の大島義文教授らの研究グループは、独自に開発した顕微メカニクス計測法を用いて、リボン状になった単層2硫化モリブデン(MoS2)膜の力学性質を調べ、リボンのエッジ部分の強度が、リボンの内部より高いことを明らかにした。

単層MoS2ナノリボンは、ナノスケールの超薄型機械共振器への応用が期待されているが、その力学性質の解明が課題。研究では、世界唯一の手法である「顕微メカニクス計測法」を用いて、単層MoS2ナノリボンの原子配列を観察しながら、そのばね定数を測定することに成功した。機械共振器は、雷、加速度、ガス、臭気などの環境電磁界を計測するセンサーの開発に必要な要素技術として注目されている。

解析の結果、エッジがアームチェア構造である単層MoS2ナノリボンのリボン幅が3ナノメートル以下になると、ヤング率が増加することを発見。

研究グループは「研究の成果は、ナノスケールの超薄型機械的共振器の設計を可能にする。近い将来、これを用いたナノセンサーがスマートフォンや腕時計などに組み込まれ、個人がスマートフォンで環境をモニタリングしたり、匂いや味などの情報を数値としたりしてとらえ、自由に伝えることができる可能性となる」とコメントした。