東京医科大学の大山恭司准教授らの研究グループは19日、学習・記憶を支えるニューロン新生を司る海馬神経幹細胞の中に、転写因子「pSmad3」を発現するサブタイプが存在することを明らかにしたと発表した。
海馬神経幹細胞によるニューロン新生は生後も続き、学習機能の維持に重要であることが知られている。一方、神経幹細胞とアストロサイトには多くの因子が共通して発現する。転写因子が細胞の個性を決めることが知られているが、これまで海馬神経幹細胞とアストログリアを見分ける転写因子は知られていなかった。
今回の研究によって、学習を支えるニューロン新生を司る海馬神経幹細胞の中に、pSmad3を発現するサブタイプが存在することが分かった。さらに海馬歯状回アストロサイトの多くがpSmad3とOlig2を共発現する新規アストロサイトサブタイプであることを発見した。
研究グループは「pSmad3を発現する神経幹細胞サブタイプ、海馬pSmad3+/Olig2+アストロサイトサブタイプがどのような機能に関わっているかを明らかにする必要がある。そして将来、海馬における細胞の多様性が、多岐にわたる学習機能の細胞学的基盤になっているか興味が持たれる」としている。