九州大学
九州大学の山本俊亮医員と落合正行・学術研究員らのチームは先月、仕事で扱う放射線・抗がん剤のがんや流産などへの影響を解析した。現代では、それらの取り扱いがリスクでなくなっている可能性を指摘している。
研究では、妊婦約10万組、子どもと父親およそ5万人のデータを使用した。出生体重や親の放射線、抗がん剤使用の履歴が残る9万6609人から生まれた子どもを分析している。
その結果、母親は妊婦期間中に放射線を2225人、抗がん剤を1327人が半日以上の時間で月1回以上の頻度で利用していた。471人が死産もしくは流産となり、4493人が身体に障害が現れていた。これは使わなかった場合と差が認められない結果だという。
また、父親でも同様の調査を行ったところ、死産や流産につながる確率、形態異常の違いはなかったという。
山本医員は「現代の防護対策の進歩により、職場での放射線や抗がん剤の取り扱いが子どもの健康に与える影響を軽減できる可能性を示した」と紹介している。
研究成果はオランダの学術誌「アーリー・ヒューマン・ディベロップメント」に掲載されている。