小惑星ベヌー
北海道大学と海洋研究開発機構、九州大学などの国際研究グループは29日、米航空宇宙局(NASA)の計画で小惑星「ベヌー」から持ち帰った粒子を分析して、アミノ酸や核酸塩基、カルボン酸など有機化合物の検出に成功したと発表した。さらに、小惑星からサンプルを持ち帰る計画では初めて核酸塩基「ウラシル」以外を検出している。
NASAの探査機「オシリス・レックス」が持ち帰った試料の約100ミリをNASAのダニエル・グレイビン博⼠をリーダーとするチーム「SOAWG」が分析した。生命の材料は地球外から持ち運ばれてきたという仮説があり、その確認のためにも地球外物質の調査は重要だ。
研究の結果、33種のアミノ酸を発見。そのうち、ほとんどが左右等量な「ラセミ体」であった。これは、地球上での生物由来の汚染が試料に含まれないことを示すという。また、DNAやRNAに含まれる5種の核酸塩基「シトシン」、「チミン」、「アデニン」、「グアニン」、ウラシルが発見されている。

北大の大場康弘・准教授
研究チームの一員で北海道大の大場康弘・准教授は「生命誕生前の地球上にどのようなサンプルが供給されていたのかを理解することにつながる」とし「今後、日本が行う火星衛星サンプルリターン計画にも生かせる知見だ」と説明した。
この成果は英科学誌「ネイチャー・アストロノミー」に掲載されている。