東京慈恵会医科⼤学の中野敦教授らによる研究グループは、胎⽣期マウスの⼼内膜細胞が ⼼筋特異的転写因⼦「Nkx2-5」とその下流で働く二つのシグナル因⼦によって、マクロファージに分化する転写制御機構を明らかにし、そのマクロファージは⼼臓弁の正常な形態形成に必須な存在であることを特定したと12日に発表した。
研究では、Nkx2-5 の下流で働くシグナル因⼦を探索することで、より詳細な分⼦制御機構を解明することを⽬的とした研究を実施。
その結果、Nkx2-5の下流で働く二つのシグナル因⼦である「Notchシグナル」と「レチノイン酸シグナル」はNkx2-5依存的な⼼内膜細胞からの造⾎およびマクロファージ分化に働き、⼼内膜床部分から形成される⼼臓弁の組織リモデリングに寄与することを証明した。
研究グループは「心臓におけるマクロファージの役割に関して理解が進み、将来的には先天性の心疾患に関する病態解明などにつながると期待される」と説明する。