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【研究最前線】世界最小電圧で光る青色有機EL 大阪大などの研究Gが開発に成功

大阪大学の伊澤誠一郎准教授らの研究グループは19日、乾電池(1.5ボルト)1本をつなげて光る世界最小電圧で発光する青色有機ELの開発に成功した。今回ほどの低電圧の青色発光は青色発光ダイオードでも不可能。今後もディスプレイ機器への応用を達成するための研究を開発していく方針。

有機ELはテレビやスマートフォンディスプレイなどに使用される一方で、駆動電圧が高く消費電力が大きいという課題がある。3原色では青色の発光を得ることが最も難しく、通常は4ボルト程度の電圧が必要。

研究グループは2種類の有機分子の界面で、エネルギーの低い励起状態から高い様態を創り出す「アップコンバージョン」という過程を起こす独自の発行原理を用いて、超低電圧で光る青色有機ELの開発に成功した。

開発した有機ELは462ナノメートルの青色発光が1.26ボルトから確認され、1.97ボルトでディスプレイ程度のまぶしさに到達した。これほどの超低電圧の青色発光は2014年にノーベル賞を受賞した青色発光ダイオードでも不可能。世界最小電圧で光る青色発光素子となった。

今回の研究によって、有機ELで問題とされてきた青色発光にかかる電圧を低減することに成功した。今後、大画面テレビやスマートフォンディスプレイなどの危機の消費電力を大幅に少なくできる可能性がある。

研究グループは「今後は技術をディスプレイ機器へ応用するため、より色純度が高いスペクトル幅が狭線な青色発光を低電圧で実現することを目指す。さらにこのメカニズムの発光の効率を向上させることで、従来よりも大幅な低減を達成できる」としている。