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【研究最前線】新たなプロテオミクス技術 岡山大の研究Gが開発に成功

岡山大学は19日、同大学の二見淳一郎教授らの研究グループが、培養細胞中の総タンパク質から核酸などの不純物を取り除いた後、変性状態の総タンパク質を水溶性で抽出する独自の技術の開発に成功した。安価に大量に調整が可能で、大規模スクリーニングを行うことが可能になるとしている。

研究グループは細胞内のタンパク質全体から不純物を取り除き、タンパク質を変性した状態で水溶性に抜き出す技術を2014年に開発している。この技術を改良し、全てのタンパク質を解析する技術「プロテオミクス技術」を新たに開発し、その方法論を公表した。

新技術を発明した背景には、実施中のプロジェクト「がんと免疫の戦いの戦況と履歴を知る自己抗体バイオマーカーの評価技術」がある。この事業ではさまざまな人の血液検体から自己抗体バイオマーカーを認識するヒト細胞内タンパク質を突き止める必要がある。

しかし、タンパク質の出現パターンには個人差が大きいため、精度の高い評価システムが必要であった。このシステム開発に向けてヒト細胞内タンパク質をどのように認定するのかを検討していた。

研究の結果、ヒト細胞内タンパク質を疎水性度と分子量で2次元分離する新規報を開発した。これにより、疾患の診断などに役立つ自己抗体を効率的に同定することを可能とした。解析用の2次元分離膜は安価に大量に調整可能で、大規模スクリーニングを行うことが可能となったという。

研究グループの二見教授と伊達実鈴大学院生は「実験作業はまるで『宝探し』ですが、変性状態のタンパク質を取り扱う技術を駆使して、効率的に宝探しができる技術を開発した。この宝物を並べれば、免疫が関わるさまざまな疾患に対する個別化医療を実現するツール開発に貢献できる」とコメントしている。