海洋研究開発機構(JAMSTEC)の新井隆太副主任研究員らの研究グループは㏲、日向灘にある上盤プレート内に海底面からプレート境界まで垂直方向につながる低速度体を発見した。九州パラオ海嶺が沈み込むことで生じた破砕帯と解釈しており、周辺の地震探査データを解析することで地震や津波に対する減災に貢献できるとしている。
調査海域である日向灘は1946年に発生した南海地震の震源域とも隣接している。地殻深部での流体分布と巨大地震などとの関連を明らかにすることは、将来発生が危惧される南海トラフ地震に備えるためにも重要となる。
研究グループは2020年8月から9月にかけて海底広域研究船「かいめい」を用いて地震波探査を実施。日向灘の低速度体は海嶺が上盤プレートへ沈み込むことによってこなごなにされた場所と解釈された。
波形インバージョン解析で得られた速度構造モデルを分析したところ、その場所はプレート境界からの流体の上昇経路となっており、その一部には流体の出口となる海底面に泥火山を生じさせていると推察された。
研究グループは「今後も日向灘を含む南海トラフ域において、地震波探査を主軸とする調査を継続し、観測データに基づいて地震発生帯の構造およびそこで発生する地震現象の理解を深めることで、海域で発生する地震や津波に対する減災に貢献していく」としている。