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超巨大ブラックホールによる星の誕生抑制を初観測 国立天文台などの研究チーム 

国立天文台の斉藤俊貴助教らの研究チームは15日、銀河中心の超巨大ブラックホールから噴き出すジェットが作り出す分子ガスの流れ(アウトフロー)を、アルマ望遠鏡を用いた観測で発見したと発表した。また銀河の中心付近では、ジェットの激しい作用によって、星の材料となる分子が破壊されていることも分かり、新たな星の誕生が抑制されている可能性があることも明らかにした。

ブラックホールの活動が周囲の星間物質、特にガス分子の分布や組織に及ぼす影響を知ることは銀河の進化の過程を理解する上で重要だ。だが、これまで観察しても解像度が足りず分子ガスや銀河核の中心付近の構造までは分からなかった。

研究チームは渦巻銀河M77の中心領域をアルマ望遠鏡を用いて観測した。M77は比較的近く、高い解像度を持つアルマ望遠鏡で観測した結果、銀河核を取り囲む小さな円盤とその外側にあり爆発的に星が作られているリング状のガス雲とを明確に見分けることに成功した。

詳しい解析から、円盤とリング状のガス雲では分子の組成が異なることが判明。超巨大ブラックホールから上下に噴き出すジェットとアウトフローが衝突することにより分子の作成に影響を及ぼし、アウトフローの場所では銀河でみられる基本的な分子は破壊され、特殊な分子が増えていることが分かった。

「M77銀河の中心付近では銀河の骨格である星を作る材料である分子が破壊され、星の誕生が抑制していると考えられる」と研究チームは発表。超巨大ブラックホールが銀河の成長を妨げている可能性があることを示した初の観測例となった。