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アメフラシからヒント フジツボ阻害因子を発見 北大など

北海道大学

北海道大学の梅澤大樹准教授と電力中央研究所(東京都)の野⽅靖⾏上席研究員らの研究グループは先月18日、海の軟体動物「アメフラシ」が防御物質としてペプチドを利用することを参考とし、フジツボの付着阻害作用を発見している。

フジツボは堤防や船底に付着している貝。大きさは数ミリから数センチになる。船に付着すると推進効率が悪くなり、燃料の浪費や二酸化炭素(CO2)の排出増加につながるとされている。防除剤は海洋生物に悪影響を及ぼしており、環境にやさしい対策が求められている。

グループはアメフラシから得られたアミノ酸がつながった分子であるペプチド「ドラスタチン16」に注目。ドラスタチン16に含まれる3種のアミノ酸から構成されるペプチドに、付着阻害作用があることを確認している。

3種のアミノ酸に含まれる「β-アミノ酸」をペプチドに導入したところ、付着阻害作用を示すことを明らかにし、毒性もなかった。ムラサキイガイに対しても阻害作用が見られることもあったという。

梅澤准教授らは「やさしい防除剤を開発することは、持続可能な人類の海洋利用にとって解決しなければならない課題の一つ」と説明。「海洋環境だけでなく、船の運航に関わる経済性にも貢献できる」と評価している。