筑波大学
筑波大学と同大スタートアップの「SʼUIMIN」(スイミン)は睡眠不足に感じている人の約7割は客観的な睡眠計測に問題がないと発表した。一方で、十分に眠っていると考える人の4割強は睡眠不足の可能性があるとしている。16日付の米学術誌「米国科学アカデミー紀要」に掲載された。
睡眠治療は本人の訴えに基づいて行われるが、睡眠時の記憶はほとんど残らず感覚のみでは正しい治療につながりにくい。両者は簡単に自宅で睡眠時脳波を計測できる「インソムノグラフ」を開発して、自覚的と客観的評価の相違を調べた。
研究グループは睡眠障害のない421人にインソムノグラフを活用してもらい、最大6夜の睡眠脳波と客観的睡眠データ、自覚的な睡眠評価を調べた。
その結果、十分な睡眠をとっていると感じる人のうち45%は睡眠不足が疑われた。他方、睡眠不調を訴える人の66%は客観的な問題はなかったという。さらに、睡眠時間が短い対象者が、自身の寝ている時間を課題に評価する傾向があると分かった。
グループは「自覚だけで睡眠の健康評価を行うことは難しく、総合的な判断が睡眠障害の予防と介入、治療につながる」とした。「睡眠脳波を詳細に分析し、眠れないと感じるケースのメカニズムを解明していきたい」と力を込めている。