安成哲三・名誉教授
総合地球環境学研究所の安成哲三・名誉教授らの研究グループは先月31日、2021年まで35年間の気候変動による京都府宇治地域でその年に最初に摘む一番茶への影響を公表した。茶の新芽が枯死する凍霜害(とうそうがい)の頻度が、3月の温暖化の低温化により増加していると分かっている。
グループは気候変動が宇治茶にどのような影響を起こしているか調べるため、1987年~21年まで萌芽期のタイミングと3と4月の気温推移を分析した。
その結果、一番茶が摘まれる4月頃の日付は、3月の平均気温と相関関係があると判明した。3月の気温が高いと4月に芽を出す時期が早くなる。3月の気温が例年より8度以上高くなると6日程度早く出てくるという。一方で、3月の気温が例年よりも低い0度以下が続くと凍霜害が発現する可能性が高まるとしている。
安成名誉教授は「温暖化の影響が季節推移にどのように影響しているかという視点の研究は本当にされていない。今後もこのような調査研究は進めていかないといけない」とコメントしている。
■萌芽期
茶の新芽が萌芽した日。茶園全体で萌芽した芽が70%に達した日で定義されている。