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能登半島地震 海底地すべりを初確認 水中ドローンで撮影

河口沖で撮影された白エビ

富山大学の立石良准教授らの研究グループは16日、水中ドローンを使って海底地すべりの痕跡を撮影することに成功した。これは世界的にも貴重だという。白エビの産地周辺で地すべりが起きたため、不漁への影響が推測されており、能登半島地震による漁業被害や津波の解明、今後富山湾内で発生する災害推定にもつながるという。

海底地すべりは水中で起こる事象であるため、痕跡を直接観察することは難しく、これまで規模や崩落様式などの見解は得られていない。能登半島地震後、定置網の破損やカニかごの紛失が起きており、海底地すべりが要因と考えられていた。

グループは実態を探るため富山県を流れる神通川と庄川、小矢部川の河口沖合をドローンで撮影した。その結果、神通川沖4キロの水深約350メートル地点で高低差およそ80メートルの崖を発見。ゴカイなど付着生物がほとんど認められないことから能登半島地震により崩壊したことが強く示唆された。

また、庄川と小矢部川の河口沖合約300メートル地点でも同様に震災で生まれたと推測できる高さ10メートルほどの崖が見つけられている。

立石准教授は「白エビの漁獲量の減少には海底地すべりによる環境変化の影響があった」と推測。「今後、富山湾内の広い範囲で同様の調査を行うことで、漁業被害や津波と海底地すべりの関係について正確に検討することが可能になる」と説明している。