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東日本大震災で調査 家屋損害の程度、死亡率に関係なし 東北大など

東北大学

東北大学の中谷直樹教授と岩手医科大学の研究グループは15日、東日本大震災による家屋被害と死亡リスクの関連を追跡調査の結果を公表した。「確定的ではないが、震災後の公衆衛生の取り組みが一定の成果をあげた可能性がある」としている。英学術誌の電子版に同日付で掲載されている。

研究グループは平均追跡機関6.5年間で1763例の死亡データを調べた。

調査に協力した被災者の中には東日本大震災により2万1000人が「損壊なし」。「半壊・一部損壊」が2万3000人、「全壊・全流失」が2万7800人だった。

死亡リスクについて、家屋への「被害なし」群を1とすると「被災地に住んでいない人」の割合は0.96。半壊・一部損壊で0.98、全壊・全流失も同じ値であった。家屋被害の程度と死亡リスクに統計的な差はないと分かっている。

研究グループは「大規模損壊を受けた人も医療費を軽減すること取り組みが効果を上げたのかもしてない」と推測。「被災地に寄り添う支援により、健康被害を軽減できる」と訴えている。