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ジレンマゲームで解析 大組織の人ほど協調性ある? 理化学研究所

理化学研究所の赤石れいユニットリーダーらのグループは、組織の大きさの違いが人間の協力行動に与える影響を調べた。その結果、大きくなるほど協力行動をする確率も上昇したという。先月23日付の科学誌「コミュニケーションズ・サイコロジー」の電子版に掲載されている。

グループは83人の参加者を対象に分析を実施。1人のメンバーが2~6人の集団の中で誰かと「協力する」か「裏切り」を選ぶ「囚人のジレンマゲーム」を行い、その際の脳の活動も調査している。

その結果、集団が巨大化するにつれて協力行動が増加した。2人では協力の選択率は60%以下だったが、5人では最大68%の割合で選ばれた。また、他者の行動を真似る動きが少なくなっていく現象が確認されている。

グループによると、組織が大きくなると個人ごとの接触頻度が減り、以前のやり取りを思い出すことが困難になる。ジレンマゲームで相手が裏切ったか、そうでないかの記憶が不確実になるにしたがって、もともと抱いている「協力したい気持ち」が強く行動に影響を与えたという。

赤石ユニットリーダーは「オンラインプラットフォームやソーシャルメディアの設計に役立つ」としている。「個人やグループの特性に応じた関係構築は重要な研究課題だ」と説明した。