京都大学の石見拓教授らとシンガポール・デューク-NUS医科大学の共同研究グループは、心停止患者の蘇生に体外式膜型人工肺(ECMO)を使用する「ECPR戦略」が、地域によって実施状況が異なる点に注目。二つの地域での初期波形が電気ショック適応の院外心停止患者の転帰に違いがあるかを検証した。
研究では、大阪の院外心停止のデータベースから導出された機械学習モデルを、シンガポールのデータベースに登録されている初期波形が電気ショック適応の院外心停止患者1789人に適用。
その結果、病院到着時に心停止から回復した患者では、観察された良好な神経学的転帰は大阪のデータに基づく予測と同程度であった。一方、病院到着時に心停止が継続していた患者の転帰は大阪のデータに基づく予測よりも低いことが分かった。
石見教授は「国際的に標準化された心停止レジストリ-を有する大阪とシンガポールの大規模データを活用し、両地域の病院前救急医療の特徴を生かし、院外心停止という世界共通の課題に対する治療戦略を検討した意義深い研究だ。研究を通じて両大学の研究ネットワークがさらに強固となり、さらなる研究、両国、世界の病院前救急医療体制の改善へと発展していくことを期待したい」とコメントしている。