表皮が落ちたハゲナマコ
国立科学博物館の小川晟人(おがわ・あきと)・特定非常勤研究員と昭和大学の蛭田眞平(ひるた・しんぺい)准教授らは、太平洋では1種のみとされたハゲナマコが新種候補を含み10種に分類できると明らかにしている。
ハゲナマコは太平洋の200~2600メートルに生息するナマコだ。表皮がはげ落ちやすい特徴から名前がつけられ、大きさは数十センチ程度。
小川研究員らは日本とオーストラリア、ニュージーランド、アメリカを訪れて調査を実施。太平洋とインド洋、南極海で捕まえられた178体のハゲナマコを解析した。その結果、遺伝的に異なる10種を発見している。
過去に学名が提唱された「ムラサキハゲナマコ」「ハゲナマコ」「シンカイハゲナマコ」「ナガサキハゲナマコ」「ミサキハゲナマコ」を確認したが、残りの4種は新種候補と考えられている。
グループは今後について「4種は今後ハゲナマコ属の既知の種との詳細な比較を進め、新種記載を目指す予定」と説明。「深海という多くの謎に包まれた環境における生物の分布・多様化様式の解明につながることが期待できる」とコメントしている。