東京科学大学
東京科学大学の若林健二教授らの研究チームは7日、新型コロナウイルス感染症で集中治療室(ICU)に入室した家族における心的外傷後ストレス障害(PTSD)の実態を調べた。退室後も約20%の人が症状を有していたことが判明している。
集中治療室での治療は家庭にも影響を及ぼし、不安やうつ症状が現れる「家族の集中治療後症候群」を発症することもあると知られる。チームは新型コロナによる影響を調査するため、68人の家族を対象として患者が退院してから6、12、18カ月後の追跡調査を行った。
その結果、PTSD症状のある家族は12カ月後にも23%存在することが確認され、健康関連の生活の質が低下していたという。また、遅れて症状が発生する「遅発性PTSD」が15%で認められたとした。
退室してから1年経った後も多くの家族がPTSDに悩む家族が存在する実態が明らかになった。グループの一員である野坂宜之・同大准教授は、「重症患者を支える家族にも手を差し伸べ、長期的にサポートする仕組みを構築する必要がある」と訴えている。