東京医科歯科大学の相田潤教授らの研究グループは14日、京都大学などとの共同研究で、生活保護受給者は治療や予防のための歯科受診率が受給していない人よりも低いことを明らかにしたと発表した。経済支援では、受給者の歯科受診の障壁を緩和できない可能性があるとし、受給者が歯科受診する際の経済的要因以外の障壁を明らかにする必要性を示している。
■生活保護受給者の歯科受診率、4割未満
研究では、2019年の日本老年学的評価研究に参加した高齢者1万6366人のデータを使用。生活保護受給と歯科受診の関連を、歯の痛み、就労状況、世帯収入などのばらつきを考慮して検証した。
その結果、生活保護非受給者の半数以上が、過去6カ月間に何らかの理由で歯科受診をしていた一方で、受給者の37%しか歯科受診をしていないことが分かった。また、非受給者の半数近くが治療のために受診をしていたのに対し、受給者は34%であった。
さらに、非受給者の46%は予防のために歯科を受診したが、受給者の場合その割合は32%だった。
分析結果から、非受給者と比較して、受給者は受診が24%少なく、治療のための歯科受診が23%少なく、予防のための歯科受診が21%少かったことが分かった。
研究グループは「受給者が受けられる医療扶助による歯科治療費の免除という経済支援では、受給者の歯科受診の障壁を緩和できない可能性が考えられる。今後の研究では、受給者が歯科受診をする際の経済的支援以外の障壁を明らかにする必要がある」としている。