理化学研究所
理化学研究所の赤石れいユニットリーダーらの共同研究チームは6日、オンラインでの意思疎通が精神に与える影響を日本で初めて「経験サンプリング法」を使って調査した。デジタル利用の孤独感や幸福感に関する情報が明らかになっている。
研究チームは日本の若年層を対象に実施。男性平均(23.18歳)女性平均(24.81歳)418人を対象に21日間に渡ってソーシャルメディアやゲーム、動画視聴、コミュニケーションの種類、精神状態を記録してもらった。
その結果、1対1のオンラインコミュニケーションでは幸福感に寄与し、多数との場合は孤独感と関連し、ソーシャルメディアの閲覧時間が長いほど効果が大きかった。対面は幸福感に影響し、オンラインの5倍の効果があったという。
デジタル利用によるメンタルへの作用よりも、対面交流時間の減少による効果が大きいと分析している。また、男性よりも女性の方がオンラインによる負のダメージを大きく受けていた。
チームは「得られた知見は、デジタル利用と若者の精神的健康に関する具体的な対策の基盤としての活用が期待される」と評価。「女性が一対多のオンラインコミュニケーションの影響を受けやすいという発見は、性別に配慮した予防的介入の開発につながる」としている。
■経験サンプリング法
日常生活の中で、定期的に被験者の行動や心理状態を記録する研究手法。今回の研究では、21 日間毎日1回、被験者のデジタル利用状況と気分を記録した。