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クロホシイシモチ 口内保育中は自身を目立たなく着色 東大

クロホシイシモチ

東京大学の神田真司教授らのグループは、父親がふ化までの口の中で卵を育てる「クロホシイシモチ」の下あごに卵を外から見えにくくする婚姻(こんいん)色を発見した。男性ホルモンが自身を目立たなくするという珍しい性質が認められている。

クロホシイシモチはオスが卵を8~10日かけて、一定の大きさまで口内で育てるという性質がある。外敵から目立つリスクがあるが、これまでそのようなデメリットにどのように対処しているかは知られていなかった。

グループがあごの形態観察を行うと、繁殖期にオス特異的な色素が蓄積して、白く着色する現象が見られたという。これには口くう内の卵の色を外部から見えにくくする機能があると分かっている。ほかの魚では、男性ホルモンがメスへのアピールに使われるが、クロホシイシモチは着色を促すと確認されている。

神田教授らは「研究で使用したクロホシイシモチは釣り人にとって馴染み深い魚」と評価。「身近でありふれた魚も、よく観察すると未知の現象が眠っているのかもしれない」と説明している。