京都大学の山内一郎助教と岸本曜(きしもと・よう)准教授、稲垣暢也(いながき・のぶや)教授らのグループは10日、甲状腺ホルモンの過剰分泌により動悸(どうき)などの症状をもたらす「バセドウ病」の病態解明につながる成果を発表した。バセドウ病の症状を示すマウスの作成や原因遺伝子を報告している。新たな治療法開発の推進が期待されている。
バセドウ病は動悸や体重減少、指の震えなどを起こす病。20~30代の女性に多く、1000人あたり0.2~3.2人が発症しているとされる。薬物療法や放射性ヨウ素治療法、手術といった改善法がある。
グループはバセドウ病の症状であり甲状腺ホルモンを多く分泌する「甲状腺機能亢進(こうしん)症」のモデルマウスを作成。ホルモン分泌に重要な分子を分析した結果、遺伝子「Slc26a4」の発現増加が確認された。だが、それをなくしたマウスも病状は変わらなかった。そのため、Slc26a4は直接関与しておらず、亢進症を起こす未知の分子の存在が推察されている。
山内助教らは治療を進めるために「他の先⽣からも研究を進めてほしいとお声をいただいている」と説明。「新規治療の開発へ歩みを進めていきたい」と力を込めている。