金沢大学の谷内通(たにうち・とおる)教授のチームは10日、ネズミに迷路でエサを食べさせる実験を行い1日以上経っても食べ物の場所を覚えていられることを証明した。人間の加齢による認知機能低下の防止につながる可能性を指摘している。同日付の英学術誌「ラーニング・アンド・ビヘイビア」で紹介されている。
人間は駅までの道順や英単語の意味といった持続的記憶力「ワーキングメモリ」を持つ。ネズミや魚にも同様の能力があるとされる。だが、これまで24時間以上のネズミのワーキングメモリは確認されていなかった。
研究チームは中年にあたる生後2カ月程度のネズミで実験。中央から8つの侵入口がある迷路を作成して、その道でエサを食べさせてどれだけの期間で食べ物の場所を記憶できるか探った。その結果、24時間後の正答率は71%であると確認された。2日後は6割強、さらに1日後は6割弱と時間が経つにつれて割合は下がっている。
チームは「若いときからの記憶力の使い方が、加齢後の認知能力に与える影響を科学的に解明できる可能性が考えられる」としている。