東京医科歯科大学の沖山奈緒子教授らの研究グループは13日、国立がん研究センター中央病院などとの共同研究で、「活性型Akt」の発現が手や足の裏のホクロのがんの再発に関与することを突き止めたと発表した。
Aktはがん発症全般にとっても重要な遺伝子として知られており、Aktの異常により細胞の増殖や生存の関する制御機構に異常を生じることでがん発症に働くとされている。
手などの裏にできるホクロのがんで、多施設・多数列を用いた妥当性のある統計学的な解析による再発に直接に関わる遺伝子の解析は十分に行われてこなかった。研究グループはこのようながんに対する治療のターゲットとして有効になる遺伝子異常を特定するための研究を進めた。
研究グループは、P-AktとNUAK2の発現は手などのホクロのがんのみで、経過に影響を与えていると想定し、再発と生存との相関につきカプランマイヤー法を用いて単変量で検討した。NUAK2は、細胞代謝のセンサーとして働くAMPK関連キナーゼに一つで細胞内の代謝の制御だけでなく細胞の増殖や遊走などにも関与していることが明らかになってきている遺伝子。その結果、末端黒子型でのみP-AktとNUAK2ともに発現と再発が相関することが示された。 研究グループは「研究結果は今後、わが国で発症が多い末端黒子型悪性黒色腫に対する分子標的治療を用いた治療の標準化へ大きく道を切り開くものと考えられる」としている。