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九大が三井不動産、日鉄興和不動産と共同研究 新国富指標に着目した持続可能性に資する未来型の高度産業集積

九州大学は、三井不動産㈱(本社:東京都中央区)、日鉄興和不動産㈱(東京都港区)とともに、持続可能性につながる未来型の高度産業集積に関する共同研究を開始した。

地政学リスクへの対応を踏まえたグローバルサプライチェーンの見直しが進むなかで、特に半導体産業や周辺製造業への戦略的な投資が国内で加速している。国内での新たな大規模工場の建設は、地域にとっての経済的なインパクトとなるだけでなく、持続可能な地域全体の活性化につながる街づくりの視点が求められる。

九大と三井不動産、日鉄興和不動産は、このような社会情勢を見据え、持続可能性と経済合理性のバランスのとれた製造業を中心とした産業集積を想定し、実現を目指して共同研究を開始した。

研究では、2010年から国連で採用されているIWI(新国富指標:Inclusive Wealth Index)に着目し、九州をフィールドとして半導体産業の集積が起こる影響を定量化する。

具体的には、半導体製造業や半導体装置産業といった半導体関連産業に加え、半導体を最終製品として扱う製造業や、それらの製造業に人材を供給する教育機関、物流施設や生活利便施設などの周辺産業も含めた広範な影響が、空間的にどのように波及していくかについて可視化することを目指す。

今回の共同研究を通じ、製造業や物流業の集積、それに伴う生活利便施設や住居エリアの再構築に関する知見を得ることで、将来にわたって有効な土地利用転換を図るためのノウハウを指標化し、産業再生や地方創生に貢献することを目指す。

三者が共同して、2030年頃を想定した産業集積のシナリオについて検討し、九大でシナリオの影響結果をIWIとして計算する。計算結果をもとに、三者でシナリオを検証し、具体的な開発候補地の選定について、三井不動産と日鉄興和不動産で具体化することを想定している。

高度産業集積とは、研究者や技術者などの高度人材を要するアカデミア・研究拠点・製造拠点と居住環境からなる集積。時代とともに、製造業自体にこれまで以上にスピード感をもったアジャイル開発が求められるようになり、製造現場と研究現場、さらには教育現場の連携に一層のスピード感が必要となっている。そのような製造現場のニーズに応えることのできる、産学連携を具現化した街づくりを想定している。