東北大学の杉浦剛教授らのグループは13日、「DNAコンピューティング」手法を基盤としたプローブ設計と「ナノポア計測」により、口腔がんで発現上昇・減少を示す2種類のmicroRNA(miRNA)を同時検出することに成功したと発表した。
DNAコンピューティングは人工配列設計したDNA分子を用いて任意の情報処理を実装する技術。ナノポア計測は脂質二分子膜のようなイオン不透過性の薄膜に構築されたナノメートルスケール(1 ミリメートルの100万分の1)の細孔「ナノポア」を流れるイオン電流を計測する技術。
研究では、口腔扁平上皮がん罹患時に発現上昇・減少を示す2種類のmiRNAを標的として、従来DNAコンピューティング手法を利用したDNAプローブ設計。ナノポア計測で得られる電流阻害シグナルを解析することで、標的miRNAの発現上昇・減少パターンを同時検出することに成功した。
研究グループは「また、現行のナノポア計測システムには習熟したスキルが必要とされるため、本技術の汎用化・ハイスループット化を目指して市販のナノポアデバイスへの搭載を試み、早期診断・予後観察といった実応用へと展開していきたい」とした。