環境の良い配電経路は、停電復旧もしやすい―。東北大学の伊藤健洋教授らを中心とする研究グループと、㈱明電舎が行った産学共同研究による成果を13日に発表。停電復旧の「しやすさ」を表す指標の提唱に成功した。配電系統における停電復旧の「しやすさ」を評価・分析するアルゴリズムを開発。シミュレーション実験を通して、配電損失量が少なく環境に良い配電経路は、過酷な事故の発生時でも停電復旧しやすいことを分析した。脱炭素化社会の推進が望まれる中、天災や故障への備えが、環境配慮と両立できることを示唆しており、今後、実際の配電運用への活用が期待される。
伊藤教授らの研究には、停電復旧の「しやすさ」を評価し、解析する方法は確立されていなかった背景がある。
研究では、配電系統の日本標準モデルにおいて、120通りの需要パターンでシミュレション実験をした。その結果、「配電損失量が小さい常時運用系統は、事故時の停電残量も小さい」という情報が得られた。
それと配電損失を最適化した配電経路との比較も行ったところ、全通りの需要パターンで、一般的な配電経路と比べ、停電残量を同等または低減することに成功した。
研究グループは「これまで広く研究されてきた最適な配電損失の配電経路が、停電復旧もしやすいことが示された。これは、配電系統における高い事故耐性が、環境配慮とともに実現できることを示唆する。脱炭素化社会の推進へ向け、研究成果の配電運用への活用が期待される」としている。