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新種「ムジナノショクダイ」を発見 新属新種は100年ぶり 神戸大などのグループ

ムジナノショクダイ

神戸大学と京都大学、鹿児島大学の研究グループは、鹿児島県で新属「ムジナノショクダイ」を発見した。新たな属を設けて、その中に新種「ムジナノショクダイ」を記載した。タヌキノショクダイに似た姿をしているが、異なる種類であることが判明している。日本の植物史で大きな意義をもつ発見で新属新種は1世紀ぶり。

タヌキショクダイは光合成をせずに土の菌から栄養を奪って生きる植物。花をつける茎は4センチ程度の大きさで、6~8月に花を咲かすという。

2022年に植物愛好家の中村康則氏が大隅半島でタヌキノショクダイに似た植物を発見。鹿児島大と神戸大で調査するとどの属にも含まれない可能性を推測した。調査したところ、既存の植物とは隔絶した存在であると分かり、ゲノム解析をして新属であると認められた。

ムジナノショクダイは開花時期でも、植物体のほとんどが地中に埋まっている。アナグマを意味する「ムジナ」という言葉と近い形態をしているタヌキノショクダイの名前をあわせて付けられた。

グループは「タヌキノショクダイの仲間は、菌類から養分をもらって生活していることから周囲の環境に影響されやすい。存在に気づかれず土地開発の影響を受けて、ほぼすべての種が絶滅の危機に瀕している」とコメント。「今回の発見が契機となり、当該自生地に保護策が講じられることやさらなる自生地の発見が望まれる」としている。