チョウセンヒカゲツツジ
京都大学の阪⼝翔太助教と千葉大学の渡辺洋⼀助教らのグループは、希少植物「ウラジロヒカゲツツジ」の研究を実施している。日本に生息するウラジロと同種とされていた韓国のツツジが異なるものであると明らかにし、「チョウセンヒカゲツツジ」と命名したと先月30日に発表した。1種とされたツツジが、実際は3種存在していたことを発見した。
ウラジロヒカゲツツジは日本の栃木と群馬、埼玉、東京にのみ分布する植物で、高さは1メートル程度。ヒカゲツツジの変種とされていた。韓国にも同種の存在が報告されているが、日本のウラジロの生育環境とは明らかに異なり、同じ種類であるかが疑問視されていた。
グループは日本のヒカゲツツジとウラジロ、韓国のウラジロのゲノム解析を行った。その結果、日本と韓国のウラジロは異なるということが認められた。姿が似ているのは、岩場という共通の環境に適応したことが要因であると推測されている。
さらに、ヒカゲツツジと日本のウラジロも比較。すると、同じ山に生息していても遺伝的交流が起きておらず、それぞれ独立腫であると確認されている。
阪⼝助教らは「新たにウラジロヒカゲツツジとチョウセンヒカゲツツジが独⽴種として認められたことで、両種の分布、個体数、遺伝的多様性など種を保全していくための基礎情報を正確に捉えられるようになった」と指摘。「残された⽣育地を保護し、個体数と遺伝的多様性の回復を図ることが望まれる」と評価している。