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シカ防護柵 ブナの成長と多彩な微生物に影響 岡山大・宮崎大・九州大

岡山大学

岡山大学と宮崎大学、九州大学の研究グループは27日、ブナ林に設置されたシカ防護柵内外では、ブナの成長と土壌微生物の多様性が異なることを発見したと発表している。樹木の下に生える下層植生の保全が、樹木と土壌微生物の保護に貢献するとしている。

研究グループは白髪岳(熊本県)の防鹿柵内外に生育するブナの60年間の成長傾向を評価した。その結果、柵外のブナは2004年から成長が低下していたと判明。一方で、柵内の個体は1960年から変化がなかった。成長低下は水ストレスの程度と根の露出を起こす「土壌侵食」が関連すると推測され、柵内では下層植生が侵食を抑止していた。

また、真菌群の多様性が柵外の方が内よりも低いと分かった。土壌の化学・物理特性が保持されていたことが要因だったという。

グループは「森林管理において強度なシカ採食による樹木成長や土壌環境への悪影響を最小限に抑えるため、防鹿柵の設置が有効な手段であることを示唆している」とした。