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淡水二枚貝の限界集落、なぜできる? 北大研究Gがコガタカワシンジュガイの再生産停止と複合ストレス機構の関係解明

北海道大学の根岸淳二郎准教授らの研究グループは12日に北海道の河川で、国内希少野生動植物「コガタカワシンジュガイ」対象として、若い個体が欠落(再生産の停止)する個体群を特定し、再生産の停止に栄養塩と細粒土砂の複合ストレス機構が働くことを明らかにした。複合ストレス機構とは、二つ以上のストレス要因が相互作用することで、同じストレス要因を独立に評価したときと影響の度合いや方向性(正か負か)が変化する仕組み。

コガタカワシンジュガイは寿命が80年を超え、アメマスに寄生するという生活史を持つことから、健全な河川環境の指標とされる。近年、この貝とその仲間の再生産が停止し、高齢な個体が優占する個体群があることが広く確認されていた。

研究では、再生産の停止が、宿主へ寄生する寄生期と宿主から脱落した稚貝期で問題が起きると生じること、水中の栄養塩濃度などが高いときに、稚貝の生残率が低下することで再生産の停止が起きることを実証した。

研究グループは「環境の変化に脆弱な複雑な生活史を持つ淡水二枚貝の個体群が健全に維持される河川環境の管理に近づくこととよい」とコメントしている。