立命館大学や京都大学、森林総合研究所、国立環境研究所の研究グループは25日、植物やゼロカーボン・エネルギー技術「BECCS」の導入による生物多様性への影響を評価した。これらを利用することで生物多様性がほぼ失われずに温暖化対策を実施できると結論づけている。
地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」では、世界の平均気温の上昇を産業革命前の2度以内に抑える目標を設定している。それを達成するためには、大気中の温室効果ガスを除去する必要がある。そこでBECCSが注目されるが、そのためには大規模な栽培地を確保する必要がありそれによる生物への影響が懸念されている。
グループは植林やBECCSの導入を想定し、「緩和策の導入なし」と「植林を主体とした緩和策を導入」「BECCSを主体とした緩和策を導入」の3種類のシナリオによる影響を検討した。
その結果、導入なしに比べて、植林やBECCSを取り入れて気候変動を抑制するほうが生物種の減少を押させられると分かった。生物種の種類も現在とほとんど同じ形で保全される可能性が高いと確認された。植林よりもBECCSは土地改変面積が少ないことから、種の低減を抑えられたという。
チームは「植林やBECCSの導入による気候変動の抑制は、生物多様性の減少を軽減する効果があると示された」とし「森林の適切な利用や管理、地域の生態系の特性に合った自然再生などを通じて樹木による二酸化炭素吸収を促進することなどを考えていく必要がある」とコメントしている。
◇BECCS
化石燃料代替としてバイオマスエネルギーを利用することでカーボンニュートラルを実現し、バイオマスからエネルギーを生産する際に発生した二酸化炭素を回収・貯留する技術を組み合わせる方法。