筑波大学
筑波大学の小金澤禎史(こがねざわ・ただちか)准教授らの研究グループは21日、人がストレスにさらされたとき呼吸頻度が増加する要因は脳のストレス応答を制御する「外側手綱核」の刺激にあると発見した。過呼吸症候群などの疾患による呼吸調節異常の治療につながる可能性があるという。
呼吸は感情で制御され、特に不安や恐怖などのストレスは急性の呼吸頻度の増加を引き起こすとされる。症状の原因が恐怖の対象となり、社会生活に困難が生じることもあるという。呼吸応答の神経基盤を知ることは病態の理解を深めるためにも重要だ。
実験では麻酔したラットの脳を興奮させて、呼吸を記録した。その結果、外綱手綱核の活性化がドーパミンを分泌する「ドーパミンニューロン」を介して呼吸応答を引き起こしていると分かったという。「ストレス性の呼吸を引き起こす神経基盤を解明することで、疾患における神経系の異常を治療する方法の開発につながる」としている。
◇ドーパミン
「幸せホルモン」とも呼ばれ、欲しかったものが変えたときや恋愛がうまくいったとき、目標を達成したときなどに分泌される。モチベーションアップにつながるが、過剰分泌されれば依存症に、不足すれば、しびれや震え、パーキンソン病につながるとされる。