北海道の芦別(あしべつ)市にある蝦夷層群の地層調査の様子
東北大学の髙嶋礼詩(たかしま・れいし)教授と米ウィスコンシン大学の研究グループは21日、白亜紀に海の酸素が広く枯渇した現象「OAE1a」が1億1955万年前に発生し、111.6万年間にわたり状況が維持されたと発表した。地球温暖化が進行した場合に出現する気候変動と生態系への影響評価に貢献できそうだ。
OAE1aは太平洋にあるオントンジャワ海台の噴火により起こり、多くの海洋生物を絶滅させたことで知られる。これは1億2500万~1億2100万年前に発生したとする説が有力視されてきた。だが、海台の溶岩からできた玄武岩が推定よりも早く形成されたと分析され、再検討の必要性が指摘されていた。
研究では北海道の芦別岳(あしべつだけ)北西に露出する火山灰地層「蝦夷層群」を分析し、OAE1aの時期に堆積した地層を特定。蝦夷層群のOAE1a地層から年代測定の対象となる鉱物であるジルコンを掘り起こして測定した。
その結果、1億1955万年前にOAE1aが引き起こされたと判明。その後、111万6000年間で無酸素環境が世界中に広がっていたと発見した。グループは「火成活動による二酸化炭素の放出と温暖化、無酸素水塊の拡大と絶滅にいたるプロセスを高い時間分解能で明らかにすることが可能とした」と評価している。