イルカの授乳の様子
北海道大学の勝島日向子(かつしま・ひなこ)大学院生と早川卓志(はやかわ・たかし)助教らの研究グループは、ハンドウイルカの乳児の舌が母乳中の脂肪酸を味覚として認識している可能性を発見した。クジラ類は甘味と旨味、苦味などの「基本五味」を認識できないため、別の味覚が存在する仮説を立てて分析していた。
クジラやイルカの仲間はエサを丸呑みして食べる。そのため、味わう必要がなく、味を感じられないとされている。だが、海中で授乳を行う際に、母乳を美味しいと思わなければ乳児に上手く与えられないと推測。第六の味覚である「脂肪味」の存在を提唱していた。
グループはイルカの舌と乳、色による識別を調査。子どものイルカは授乳を受けると、母乳中の脂肪である「トリアシルグリセロール」から味を感じていると分かった。今後について「再現性を確認する必要がある」とし、「いまだ解明されていないクジラ類のコミュニケーションが明らかとなることを期待している」とコメントしている。
◇基本五味
甘味、酸味、塩味、苦味、うま味。人間や哺乳類、鳥類などの一部はこれらを飲食時に味として認識している。これら基本味は、他のどのような味を組み合わせても創造できないとされている。