横浜市立大学の沼田正勝講師らの研究グループは15日、ロボット支援の直腸がん手術が臓器の入っている腹の空間に内視鏡を入れる腹腔(ふくこう)鏡手術に比べて男性患者の性機能を良く保つ効果があることを明らかにした。
研究グループは全国の大学やがんセンター、地域基幹病院など49施設で直腸がんにより、腹腔鏡やロボットを使って手術を行う70歳以上の男性患者410人を対象に実験を実施。射精と勃起機能に関するアンケートを計4回実施した。
ロボット手術群と腹腔鏡手術群で患者背景をそろえて、それぞれを比較した。その結果、術後12カ月の時点で、射精障害はロボット群で25.0%、腹腔鏡群で40.9%だった。性交障害発生率もロボット群で 17.8%、腹腔鏡群で29.0%とロボット群で低い傾向が示されている。
研究グループは今後について「男性患者に対するロボット手術の比率が増加し、性機能障害に苦しむ患者が減少することが期待される。今後は、性機能障害のリスク因子解析や年代ごとの性機能障害発生率など、さまざまな副次解析を予定している」としている。